2026年7月31日発売
『日本と世界の蝶図鑑』
木村圭佑 著・写真
384ページ
日本264種+世界151種=415種
全国の書店やネットショップで販売中!
Amazonで本を見る→
2026年7月31日、初めての商業出版となる『日本と世界の蝶図鑑』が発売されました!
日本の蝶をほぼ全種。そして世界各地の蝶を合わせて415種。
蝶の写真を撮り、蝶を探してきたこれまでの経験を、一冊の中に凝縮しました。
このページでは、この図鑑に何を込めたのか。
そして、一冊ができるまでの約半年間のことを残しておこうと思います。
こんな図鑑を作りました
身近な草むらを飛ぶ小さな蝶。
夏の高原で出会う蝶。南の島や、海外の旅先で見たこともない色や形を見せてくれる蝶。
この図鑑では、日本の蝶をほぼ全種にあたる264種、世界の蝶を151種紹介しています。
日本の蝶だけでも、北海道から南西諸島まで、暮らす場所や季節、姿はさまざま。
近所の公園で会える蝶も、限られた環境にしかいない蝶も、一冊の中で見渡せるようにしました。
世界の蝶のページには、僕自身が海外で撮影した写真に加えて、写真をご提供くださった方々の力もお借りしています。
自分の写真だけでは紹介できなかった蝶も、この一冊に収めることができました。
「蝶に会いたくなる図鑑」を目指して
幼い頃、蝶の図鑑を穴が開くほど読んでいました。
ページの中にいる、まだ見たことのない蝶。
その姿を眺めていると、会ってみたい、実物はどんなふうに見えるのだろうと、気持ちが高まりました。
図鑑は、僕にとって憧れの生き物に出会う場所であり、外の世界へ出かけるきっかけでもありました。
蝶の図鑑を1人の著者としてつくるという一生に一度あるかないかの機会。
せっかく自分が作るなら、読んだ人にも、そんな気持ちになってもらいたい。
蝶をあまり知らない人にも「蝶って美しくてかわいい!」「もっと知りたい、会ってみたい!」と思ってもらいたい。
写真を見て美しいと思う。文章を読んで、どんなところで、どんな暮らしをしている蝶なのかが気になる。
そしていつか、本物に会いに行きたくなる。
今回の図鑑は、美しい写真と親しみやすい文章で紹介する、ポケットサイズの図鑑シリーズの一冊です。
蝶をまだよく知らない人にも、少し興味を持ち始めた人にも、すでに大好きな人にも、見て、読んで楽しんでもらえる本を目指しました。
写真の中にいる、生きている415種の蝶
花にとまって蜜を吸う姿。翅を開いたときと、閉じたとき。幼虫や蛹の姿。
蝶には、一枚だけでは紹介しきれない見どころがあります。
撮影してきた写真を選ぶときには、美しく写っているかだけでなく、その蝶の何が伝わる写真なのかを考えました。
オスメスの違いが分かるか。季節による姿の違いを見せられるか。その蝶らしい一場面になっているか。
一枚ずつ選びながら、見開きになったときの見え方も考える。どの蝶とどの蝶が隣り合っていたらより魅力的にわかりやすいか、どんな写真だったらその蝶らしさが伝わるかを特に力を入れて考え抜きました。
限られたページの中で、どの写真を大きく見せ、何を組み合わせるのか。
写真を選ぶことは、この図鑑を作るうえで、とても大きな仕事でした。
日本の蝶たち、その蝶らしさが伝わるページに
日本編では、その蝶らしさが伝わるような華やかな大きな写真とともに、
オスとメスや季節型、似ている蝶との見分け方などをできる限りわかりやすく掲載しました。
とにかく、「読んでもらった人に楽しんでいただき、蝶について知ってもらいたい」その一心で、細部までこだわりました。
特に見てほしいのは、見開きページの対比です!一種一種、思いを込めて写真を選んで、伝えたい文章をつづりました。

親しみやすい蝶とともに、春という季節の始まりと、この図鑑の始まりを重ねたかったからです。

「写真のクオリティには妥協したくない!」と思い、
自分の写真よりも良いなと思う写真を見つけたら、
撮影者にお願いをして提供をしていただきました!
まだ見ぬ世界の蝶たちも、一冊の中へ
世界編では151種の蝶たちを紹介しています。
限られたページ数と制作期間で、どんな蝶たちを載せようか何ヶ月も悩み続けました。
せっかく世界の蝶も載せられるのだから、まだ見ぬ憧れの蝶たちも載せられたら最高だな…と思い、
Instagramなどでつながりのある、海外の蝶写真家の方々にお声かけをして、お写真を提供していただけました。
自分自身で撮影をした東南アジアの蝶だけでなく、たくさんの方の力をお借りし、
南米アマゾン、ヨーロッパ、アフリカのまだ見ぬ憧れの蝶たちも美しい写真で紹介することができました。

やっぱりトリバネアゲハたちを紹介したい!

モルフォチョウやシジミタテハなど、貴重な生態写真の数々が楽しめます。
見分ける、探す、もっと知る
ポケットサイズの写真図鑑ですが、似ている蝶どうしの見分け方も、できる限りわかりやすく掲載しました。
似た蝶を見分けるための情報に加えて、分布や食草、生活史のカレンダーなども載せています。
気になる蝶が見つかったら、どの地域にいるのか、いつ成虫が見られるのかを調べてみる。幼虫が食べる植物を知ると、蝶だけを見ていたときとは、周囲の草木の見え方も変わってくるかもしれません。
蝶の探し方や撮影方法を紹介するページ、QRコードから動画を見られる仕組みもあります。
写真では止まっている蝶の、動く姿にも触れてもらえたらと思います。


似た蝶の簡単な見分け方を載せています。
身近な蝶たちを見分けられる人が増えたら嬉しいな〜
巻頭、巻末ページにも魂込めました
まず、この一冊をめくると現れるのは僕の撮影した渾身の蝶写真。
蝶の世界の美しさに一気に引き込もうと写真選びに情熱を注ぎました。
巻頭ページでは、蝶についてわかりやすく解説することを心がけました。
蝶の説明だけでなく、「蝶の生息環境」「蝶に似ている蛾」「蝶に関するQ&A」なども盛り込んでいます。
デザイナー様のおかげで、おしゃれにとても見やすいページに仕上がっています!

巻末ページでは、「蝶と向き合うことに大切なこと」「著者流・蝶撮影のコツ」など、蝶との触れ合いがよりいっそう楽しくなるような内容を掲載しています!

この一冊を読んで、蝶を好きになり、蝶を愛するきっかけになれたら、これほど嬉しいことはありません!
すべては、一通のメッセージから始まった
2026年1月5日、Instagramのダイレクトメッセージに、蝶の図鑑の著者をお願いできないかという連絡が届きました。
僕は研究者ではなく、蝶を探し、写真を撮り、文章で発信してきました。いつか自分の写真で図鑑を作ることは、人生の中でやってみたいことの一つでした。たとえ一人で作ることになっても、いつかは形にしたい。それくらいの気持ちでいました。
でも、こんなに早く、その機会が来るとは思っていませんでした。
うれしさと同時に、もっと準備したかった、もっと写真をそろえてから取り組みたかったという気持ちもありました。企画は、日本の蝶をできる限り掲載し、さらに世界の蝶も100種以上紹介するというもの。写真と文章を担う仕事の大きさに加えて、締め切りまでの時間の短さにも驚きました。
一方で、まとまった時間を一つの制作に使える今だからこそ、引き受けられる仕事なのかもしれないとも思いました。
準備が整うのを待っていたら、いつになるか分からない。今できることを出し切って、悔いのないように作ろう。そう覚悟して、制作が始まりました。
384ページの図鑑をつくる
本格的に制作を始めたのは、1月中旬頃。写真と文章をひととおりそろえる原稿の締め切りは、4月20日でした。
初めて出版社や編集者の方々と作る本は、覚えることも、決めることもたくさんありました。
どのページに何を載せるか。巻頭や巻末では何を紹介するか。一種のページには、どんな情報を、どのように配置するか。編集者の方々と相談しながら、細かなところまで考えていきました。
撮影してきた写真の中から、その蝶を紹介するために使えるものを探す。翅の表と裏、♂と♀、行動や成長段階。必要な写真が見つからなければ、誰に相談できるだろうかと考える。
自分の持っている写真と、足りない写真が、次々に見えてきました。
文章を書きながら、写真を選び、提供をお願いし、届いたメールに返事をして、また次のページのことを考える。一つ決めると、次に決めることが出てくる。毎日、その繰り返しでした。

出展もして自作の蝶冒険記なども多くの方に購入いただいて、たくさんの方々とお話ができて本当に楽しかった!
図鑑の原稿の締め切りとイベント準備が重なり、文化祭の前日のような緊張感のある日々だった記憶。
散歩中も、お風呂でも、図鑑のことを考える半年間
最初の約3か月間は、来る日も来る日も、この一冊のことを考えていました。
散歩をしているときも、お風呂に入っているときも、ご飯を作っているときも。眠る前まで、どうすればもっと良くなるだろうと考えていました。
早めに形にして、何度も直しながら磨いていくつもりでした。でも、全力で進めているのに、思うようには終わりませんでした。
締め切りが近づいた頃には、朝5時半に起きて、夜12時頃まで作業する日もありました。それでも、まだやることが残っている。夜には、もう何も考えられないほど頭を使っていました。
原稿の締め切りの約一週間前には、生き物のイベント「博物マニア」での登壇と出展もありました。その準備が重なった時期は、今思い返しても、どうやって一日を過ごしていたのか分からなくなるほど慌ただしい日々でした。
4月の終わり、原稿と写真がひととおりそろいました。
これで、いちばん大きな山を越えた。
そのときは、そう感じていました。
図鑑を作っていると、撮りたい写真が増えた
原稿を渡したあとは、制作を担当する方々が、文章や写真を誌面に組み上げていきます。その間、5月初旬には少し机を離れ、蝶の撮影に出かける時間ができました。
三か月前とは、撮りたいものが変わっていました。
もっと美しい写真を撮りたかった蝶。何度も会っていたのに、必要な姿を撮っていなかった蝶。図鑑を作ったことで、撮影の積み残しがはっきり見えていました。
これまでも蝶を撮ってきたつもりだったけれど、一冊の図鑑にしようとすると、自分が何を見て、何を撮ってこなかったのかまで分かる。その気づきを持って、またフィールドへ出ていきました。

愛知県の渓谷で、ひたすら追いかけました。
いざ、図鑑を作り始めると想像以上に
掲載できるくらいのクオリティの写真がないことに気付いた。
384ページを、何度も見直す日々
「校正」という言葉は知っていました。でも、実際にどんな作業なのかは、あまり想像できていませんでした。
誌面になったデータを受け取り、写真があるべき場所にあるか、名前や説明が対応しているか、文章に間違いや不適切な表現がないかを確かめる。約400ページ分、それを一つずつ見ていきます。
一ページに数点の写真があり、名前、分布、食草、本文、生活史のカレンダーがある。写真が正しくても、添えた説明との組み合わせまで確認しなければいけません。
何度も見たはずなのに、次に見返すと修正すべきところが見つかる。直した内容が誌面に反映されたかを確認し、またページをめくる。精密なパズルを、一つずつ確かめ直しているような作業でした。
編集部や制作を担当する方々、専門家の方々と確認を重ねる中で、本を正確な形に整えることの難しさを知りました。

制作は真冬から始まり、桜が散り、いつの間にか梅雨へ。
こんなにも体感時間が加速して、季節の感覚がなくなる日々は生まれて初めてだった。
自然について書くことはこんなにも難しい
専門家の方々に原稿を見ていただくと、たくさんの指摘を受けました。
正直、つらかったです。時間をかけて考え、何度も直した文章に、まだこれほど見直すところがあるのかと思いました。同時に、蝶を見てきたことと、蝶について図鑑に書くことの間には、大きな違いがあるのだと感じました。
ある行動を自分が見たとして、それはその蝶に広く当てはまることなのか。その地域や季節、そのときの条件で見られたことなのか。資料に書かれていることも、どこまで確かなのかを確かめてから、言葉にしなければいけません。
「この蝶はこういう蝶だ」と書く、一つの文章。その短い言い切りに、どれだけの根拠が必要なのか。
東京へ出向き、専門家の方と直接お会いして、朝から夜まで原稿を見ていただいたこともありました。
文章のどこが危ういのか、根拠をどう確かめればいいのか。一つずつ、丁寧に教えてくださいました。
指摘されたところを直せば、ようやく完成に近づける。そう思っていた頃、さらに大きな提案をいただきました。
図鑑ページの文章を、自分の体験を軸にして書き直してみないか、という提案でした。
残り三週間、自分が見てきた蝶を書き直す
図鑑なのだから、一般的な解説を書くものだ。僕は自然と、そう考えていました。
けれど、僕が実際に見てきたこと、撮影してきたこと、小さい頃から心に残っていることにも、この本に書ける材料がありました。
その蝶を探すとき、何に苦労したか。実物の姿を初めて見て、どう感じたか。どんな場所で、どんな行動を見たのか。
提案してくださった方は、自然に詳しく、執筆にも携わっている方でした。忙しい中で時間をつくり、オンラインで話し合いながら、文章の組み直しまで一緒に進めてくださいました。
僕が、その蝶について知っていることや体験、書きたいことを出す。その方が、自然科学的に危うい表現にならないよう確かめながら、素材を文章につなぐ。そして僕が読み、自分の経験や思っていることとずれていないかを確認し、自分らしい表現に整えていく。
そうやって、残り約三週間で、400種を超える蝶の紹介文を書き直していきました。
会ったことがない蝶は、会ったことがないと書くことにしました。それも、大きな決断でした。
まだ見ていなくても、調べてきたことや、探しに行った経験がある蝶もいます。人から教えていただいたこともあります。自分の観察と、調べたこと、聞いたことを区別しながら、文章にしていきました。
思い出の深い蝶も、何度探しても会えなかった蝶も、まだ憧れのままの蝶もいる。その違いが文章に現れたことで、ようやく自分の言葉で蝶を紹介できたように感じました。
一度整えた文章を、最後に大きく書き直す。本当に大変な作業でした。でも、この書き直しを経たことで、今の本に残っている文章になったのだと思います。
そのとき、ようやく気づきました。自分が著者として図鑑を作るのなら、僕にしか書けない蝶への思いや体験を、僕自身が選んだ写真とともに一冊にする。それが、この図鑑にふさわしい形なのかもしれない、と。
深夜2時、最後の原稿を渡す
最終盤は、ひたすらキーボードを打ち続けました。手が痛くなるほど文章を書き、読み返し、この日本語で伝わるだろうか、この表現で大丈夫だろうかと考え続けました。
締め切りが迫るにつれて、考える力も残り少なくなっていました。見直すほど、何が適切なのか分からなくなる。それでも、目の前にある文章を一つずつ確かめていきました。
6月末、最後の原稿を書き終えたのは、深夜二時頃でした。
その時間まで、原稿を受け取って誌面に反映する方が待っていてくださいました。書き終えたデータを渡し、制作のバトンをつなぎました。
翌日の昼過ぎに届いたデータを、残された時間で最終確認する。最後まで、多くの方の手を借りながら、図鑑の制作は終わりました。
終わった。本当に終わったのか……。
でも、そのときの僕には、達成感をじっくり味わう余力がほとんどありませんでした。
間違いがないか、あの部分はちゃんと修正したか、いろんな不安が溢れ出した記憶があります。
完成したあと、何もできなくなった
制作が終わってから数日間、強い疲れで、ほとんど何も手につきませんでした。
しばらく休めば戻るのかと思っていましたが、今度は、本当にこれでよかったのか、どんな評価を受けるのだろうかという考えが頭から離れなくなりました。やってきたことを振り返るたびに、自分を責める方へ考えが向かってしまいました。
二週間ほど経つ頃には、ご飯の味がしないように感じ、食欲も落ちていました。病院に行った方がいいのかと考えるほどでした。
診断を受けたわけではないので、当時の状態を病名で言い表すことはできません。
ただ、今振り返ると、かなり強く燃え尽きていたのだと思います。
そんな時期に、蝶仲間と長野県へ撮影に出かけました。撮影を始めた頃に感動した、原点のような場所。
登山をし、絶景を見ながらカップ麺を食べ、久しぶりに見る高原の蝶たちに癒された至福のひととき。

1時間以上かけて、卵を丁寧に産み卵塊を作っていた。
やっぱり、蝶はいいな。
そう思える時間がありました。でも、帰宅するとまた調子を崩す。楽しい旅ができたからといって、そのまま元に戻れるわけではありませんでした。
7/31に出版、自分の本が書店に並んだ
そして、7月31日。『日本と世界の蝶図鑑』が発売されました。
近所の本屋へ行くと、本当に書店に並んでいました。インターネットで検索しても出てくる。長い間、パソコンの中で見ていたものが、一冊の本になっていました。
Instagramのフォロワーさんや知り合いから、書店にあったよ、買ったよと連絡が届きました。実際に足を運んで手に取ってくださる方がいて、感想を送ってくださる方がいる。それは、本当にうれしかったです。
ただ、自分で手に取っても、自分がこの本を作ったという実感は、不思議なほど湧いてきませんでした。
うれしいのに、心や体が元気になるわけではない。本が無事に出版されても、調子の悪い日々は続いていました。

友人やフォロワーさんからも「図鑑あったよ!買ったよ!」と
たくさんの声をいただけたのが本当に嬉しかった。
本当に、本当に全国の書店に出版されたのだ…!
蝶を追いかける時間と、動き出せない苦しい日々
8月の初めには、蝶仲間と中国地方へ遠征に行きました。
人と話し、蝶を追いかけ、旅をする。その時間は楽しくて、元気になったように感じました。
でも、家に帰ると、また自分を否定したり、これからのことを暗く考えたりしてしまいました。

この青さは今になっても忘れられない!
最低限の仕事をして、そのほかは何をしていたのか、今もよく思い出せません。
毎日フラフラしてしまいそうな夏の暑さのせいもあったかもしれません。
やりたいことを考えるのも、物事を決めるのも難しく、動き出せない日が続いていました。
9月初めには、九州で蝶を探す旅を予定していました。
その直前は特に調子が悪く、前日になっても、本当に行けるのだろうかと思っていました。
それでも朝、新幹線に乗り、博多へ向かいました。
蝶仲間と合流し、会いたかった蝶を探しに行く。撮影して、泊まって、お酒を飲みながら話して、翌日も蝶を追いかける。充実した二日間を過ごして、名古屋へ帰ってきました。
今度こそ、このまま良くなるのではないか。そう思いました。でも、眠って翌日を迎えても、つらさは残っていました。
蝶仲間や家族と話して、再び活動したくなった
そのあと、家族と腹を割って話しました。
すごく支えてもらいました。その時間を経て、かなり吹っ切れたように感じています。
何が決定的だったのか、一つに絞ることはできません。蝶を見に行ったこと。仲間と過ごしたこと。母と話したこと。そうした時間を経て、あるときから、またやりたいことが湧いてくるようになりました。
ウェブサイトに文章を書きたい。Instagramで写真を見てもらいたい。カレンダーを作りたい。また蝶の旅にも出かけたい。
しばらく動かせなかった手が、不思議と動くようになりました。
ご飯がおいしい。料理ができる。人と楽しく話せる。そして、蝶の写真を選び、文章を書き、形にすることが、またうれしい。
好きだったことを、好きだと感じながらできる。その喜びが戻ってきました。
また蝶を見て、撮って、書いている
この文章を書いている2026年10月、僕はまた、ウェブサイト「蝶と見る世界」の記事を作っています。
一種の蝶について書こうとすると、撮影した日のことや、昔の旅のことが次々に浮かんできます。
図鑑の制作で、自分が見てきたものを自分の言葉で書き直した経験は、今の文章にもつながっています。
この図鑑は、僕一人の力で形にできた本ではありません。編集部や制作を担当された方々、専門的な視点から確認し、文章づくりまで支えてくださった方々。写真をご提供くださった方々。蝶との出会いをつないでくれた仲間や、生活を支えてくれた家族。そして、完成した本を手に取ってくださった方々。たくさんの人に助けられました。心より感謝申し上げます。
制作を終えて、すぐ次へ進めたわけではありません。
それでも今、また蝶を見て、撮って、書きたくなっています。
これからも、自分が出会った蝶や、そのときに見た景色を、少しずつ残していきたいと思います。
子どもの頃、図鑑の中の生き物に会いたくなったように。
この図鑑を閉じたあと、今度は本物の蝶に会いに行ってもらえたらうれしいです。
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『日本と世界の蝶図鑑』
木村圭佑 著/日本文芸社
384ページ/定価2,970円(税込・刊行時)


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